名盤の罠


Nara Leao / Dez Anos Depois

「名盤の罠」とは大げさなタイトルですが、
「名盤と言われてるから」という理由だけで
そのアルバムしか聴かないということには、
弊害がある場合が多い気がします。

ボサ・ノヴァの女神(ミューズ)と呼ばれるナラ・レオン。
その理由は、50年代のブラジルでボサ・ノヴァが生まれた
裕福な階級のコミュニティの中心にいたからです。

実際彼女がボサ・ノヴァを歌ったアルバムは、
すでに世界的なボサ・ノヴァ・ブームが
下火になろうとしていた1971年に録音された
この『美しきボサ・ノヴァのミューズ』と、80年代の数枚と、
数えるほどしかありません。
事実、ナラ・レオンはボサ・ノヴァの
(当事者以外の)熱狂的な盛り上がりに辟易し、
むしろ反発すらしていた時期がありましたし、
軍事政権が台頭してきたブラジルの政治的影響もあり、
いつも「愛と平和」に満ちたボサ・ノヴァばかりを
歌っていたわけではありません。

ボサ・ノヴァの名盤だからといって、
この作品だけを聴いてナラ・レオンのこと、
ひいてはボサ・ノヴァのことを知った気になるのは、
ちょっと危険な気がします。
アルバムが制作された背景を知っておくべき作品があると思いますが、
『美しきボサ・ノヴァのミューズ』はまさにそういった作品です。
原題は『10年後』という意味。
邦題の『美しきボサ・ノヴァのミューズ』は
まったく違ったタイトルであるとも言えます。
それまでボサ・ノヴァのアルバムを作らなかった彼女が、
この時代に、ブラジルではなくパリで作った
といった事実すべてが作用して、
このようなボサ・ノヴァらしからぬ雰囲気の
アルバムが出来上がったのでしょう。

MPB(ブラジル・ポピュラー音楽)の激動の時代を生きた、
ナラ・レオンというひとりの女性について
詳しく知りたいと思われた方は、
『ナラ・レオン 美しきボサノヴァのミューズの真実』
という本をぜひご一読ください。
著者はブラジル音楽に精通したジャーナリスト、セルジオ・カブラル。
鎌倉のカフェ・ヴィヴモン・ディモンシュのマスター、
堀内隆志氏の監修(翻訳は荒井めぐみさん)による、
愛情たっぷりの1冊です。

雨音のようなピアノ


Steve Kuhn / Remembering Tomorrow

ピアノの音が
雨音と重なり合ったとき、
そのイメージは何倍にも膨らみ
まるで妄想の中の
雨の世界に浸り、
ズブズブとその深みにはまっていく
自分がいる。

雨は、
意識を遮るノイズのように。

曇り空は、
夜の暗闇のように。

先を見えなくする。

想像を掻き立てられ、
すべてがわかっているかのような
今の世界にも、
わからないものがあるということを
思い知らされるような。


------


ECMレーベルの作品には
リスナーが入り込める
余白のようなものがあって、
そこで人それぞれに
作品に対する捉え方を
刷り込むことができる点が
良いのではと思いますが、
いかがでしょうか。
昔から、雨の日に引っ張り出しては
聴いているアルバムです。

雨のような…



「このオビは、雨と休日への挑戦じゃないですか?」
なんて冗談を言われますが、
そんなおこがましいこと思ってもいません。
雨に対するイメージは人それぞれですよね。

青木隼人の作品にも通ずるような、
音の余韻まで考え込まれた
アコースティック・ギターによるソロ作品です。

Ryan Francesconi / Parables

青木氏と同じラジオゾンデつながりですが、
津田貴司氏が来店されたときに
このライアン・フランチェスコーニのギターは
装飾の付け方が独特だとおっしゃっていました。
私はギターを演奏したことがないので
細かいところまではわかりませんが、
ライアンはブルガリアやバルカン地方の民族音楽を追求した
バンドのメンバーとしても活動していただけに、
(詳しくはこちらのインタビューをご覧ください)
その演奏にも欧米的なものでない
要素が組み込まれているのでしょう。

ジャケットも凝った作りとなっています。
これで(しかも新譜で)¥1,680は安いです。
レーベル元Sweet Dreamsの素晴らしい仕事。
作り手の努力がうかがえます。

ひとりの人の世界


いきなりですが、
ポジティヴな引きこもりって
あると思うんですよ。
自分を取り戻すための引きこもりは
ある程度必要なのではないかと。

今日はそんなときに部屋に流したいな、
と思った新譜を。

Heather Woods Broderick / From the Ground

『Float』が好評な
ピーター・ブロードリックのお姉さん、
ヘザー・ウッズ・ブロードリックです。
自分でいろんな楽器を演奏しています。
ピーターも参加しています。
とても女性的な作品だと感じるのですが、
たぶんそれは
自分の世界を壊さず大切にしたい
という意志のようなものを
サウンドから感じるからなのでは
と思います。

是非ご試聴を。

Calendar
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>
お知らせ
出張販売、DJ、トークイベント等、ご依頼受付中。CD作品の持ち込み売り込み、メジャー/マイナー、レーベル/個人問わず随時募集中。お気軽にメールアドレス[ infoあっとameto.biz ]または→[お問合せフォーム] からご連絡ください。
Links
Profile
Categories
Archives
Search this site.
Others